2009年04月09日

赤信号

 

赤信号が面白い?

 

交通法規では、赤信号で止まるのが決まっている。それは当たり前で、誰にも知っているはずである。「法規を守るために」、「罰されないように」、「自分と他の人の安全のために」という理由のほかにも、「赤信号で止まるのが面白い」と思ってから、赤信号で止まる人もいるかもしれない。

 

「時間がかかる」と考え、赤信号が嫌だと思う人にとっては、それはありえない話かもしれない。確かに「赤信号が面白い」と感じて止まるのは、おかしいであるが、考えれば考えるほどやっぱりそれは面白い行動だと思う。

 

 

ベトナムでは、どんな国と比べても、赤信号で止まるのが嫌だと思う人が一番多いと思う。なぜというと、ベトナムはオートバイが道には溢れている国として有名であるからだ。オートバイのエンジンからの暑さやら、排気ガスやら、うるさい音やらに包まれれば、どうしても面白いとは思えないだろう。赤信号が30秒以内ならば「まあまあ」我慢できるが、1分〜1分半ならば、「もう我慢できない」と、できるだけ早くスピードを出て誰よりも先に走ろうとする人の考えを簡単に理解できると思う。そういうことで、ベトナムでは赤信号を無視する人が多いのである。「赤信号が嫌だ」という心理が頭に根強くくっ付いているからか、走っている乗り物が少ないときにでも、赤信号を無視する人も少なくなくなっている。

 

しかし、ベトナムでは、他の国と比べて、赤信号で止まるのが面白いと思う人も結構多いと感じられる。なぜというと、今のベトナムで車があまり走っていないということは理由として考えられてもいいと思う。外から覗けないが、外でいる人を内から自由に観察できる、走っている箱の中で座る人は、赤信号で止まるときどう感じるだろうか。王様のように自分の限られた世界を気楽に送っているし、外の人をもくもくと観察しているという感じだろうか。まあ、それはいい面だと言ってもいいが、誰でも別々の箱に突っ込んだら、他の人の世界から離れて自分の世界で別々いるのは、つまらないのではないだろうか。また、つまらないより、人間との間のコミュニケーシオン機会を少しずつ奪われていると言っても過言ではないだろう。

 

しかし、ベトナムではオートバイが多いから、オートバイに囲まれるとき、つまり知らない人に囲まれるとき、別々の世界がつながりやすくなっているとき、いろいろな思いがけないことが起こる。例をいくつか見よう。ある若い夫婦が小さな息子を連れて、家族そろってバイクに乗っているとき、夫婦の間の隙間で息子を立たせた。赤信号で止またとき、「おい、危ないよ。息子をちゃんと座らせてください」と自転車に乗っているおばさんにやさしく注意された。妻は息子を座らせた途端、信号は青くになったから、そのおばさんはさっさと別の方向に曲げた。

ある交差点では、信号の色にもかかわらず、止まらず通るのは当たり前だと言われている。でも、ときどき赤信号で止まる人もいる。ある女の子は、周りの人が止まらず通るのを知ってもきちんと法規に従うつもりで、止まった。通りながら、「その信号を気にしないで、通ってください。大丈夫だよ」と彼女を注意した人は何人かもいた。

 

赤信号については、そのような面白い例はまだまだあるが、いちいち挙げるスペースはない。けれども、赤信号で止まるとき、ちょっと気を配ったら、いろいろないいことは勉強になると思う。子供を塾へ連れて行くお母さんやお父さんとか、子供ができる妻を連れている夫とか、職場から家に焦って帰っている婦人とか、学校からゆうゆうと自転車をこぎながら、友達とペラペラ話している生徒たちとか、いろいろな人と接することができる。上品な衣服やバイクを持っている豊かそうな人でも接することもあるし、野菜や果物を運んでいる貧しそうな人でも接することもある。たった30秒か1分しかないけど、いろいろ見えるし、聞こえる。そして、いろいろ考えさせるかもしれない。人生とか、愛情とか、人々の振る舞いとか、さまざまな面について考えさせるだろう。

 

たった30秒〜1分しかないから、焦らないでちょっと止めて、そして、ちょっと見て、聞いてほしい。普通は気にしなかったことを見つける可能性があるだろう。そういう意味では、赤信号という、時間を無駄にする面倒くさいものは、ペースが速い現代の生活の凝結された点になるのではないだろうか。

 
posted by ノラ猫 at 04:27| ハノイ ☁| Comment(1) | ただ、しゃべり・・・ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うちの娘も、車の中からよく近くの人を観察していますよ。走っているときは、後ろを見ています。その方がオートバイに乗っている人の顔が見えるからでしょう、きっと。そして、面白い人がいると、すぐに教えてくれます。
でも、車の中からだと言葉を交わすことはほとんどないのが残念ですね。

Posted by 村上吉文 at 2009年04月09日 20:25
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