2009年06月02日

競争社会が大嫌い!!!

入学競争社会である現在のベトナム 
  

経営では、利益・利潤を得るための競争が当たり前だとよく言われている。競争は、前に向かって進む人間の意志をかき立てる、欠かせないものだと主張する人が少なくない。独占企業の場合と違って、競争は企業の新製品開発や生産技術革新を促進して、生産力を高めるのに重要な役割を果たす。このように、経営における競争は積極的な促進効果をもたらす、不可欠なものである。

 

しかし、教育における競争は、生徒たちに悪い影響を与える、危ないものだと主張したい。ここで触れる教育における競争とは、具体的には「入学競争」である。「教育」とは子供の資質を育てるだけでなく、人格も育てることを目的にしているものだと定義される。しかし、純粋な生徒たちの頭に競争意識を詰め込むのは、子供の未熟な心を歪め、教育の本来の姿に逆らう行動ではないだろうか?

以下では、最近ベトナムの有名な電子新聞に載った「入学マラソン」論に基づいて、現在のベトナムで目立っている入学競争の状況を調べる。次に、入学競争の本質と生徒たちへ影響のし方を少し論じる。

 

1.「入学マラソン」

 

この概念は、ある大学生の話に由来している。以下には、その話の一部分を引用する。

「親たちの時代、成功者になるためには、必ず乗り越えなければならない『大学入試』という壁があった。1980年代に生まれた私の時代になると、もう一つの壁が作られた。それは『高校入試』と呼ばれる壁だった。1990年代に生まれた妹の時代に入った途端、もう一つの壁が作られた。今度は『中学校入試』という壁だった。そして、2000年代に生まれたいとこの時代には、こう一つの壁が出てきた。それは、ありえないと思われた『小学校入試』という壁である。ここでは壁を作ることはも止まるかどうか、まだ分からない。でも、『幼稚園入試』という壁でも遅かれ早かれ出てくると懸念されている。(中略)

 

ベルリンの壁は一つしかなかったのに、西ドイツと東ドイツの国民が結構苦しかったと聞いた。必死に努力した長い年月が経って、ついにこの壁を崩されるようになった。これに対して、誰かがわざと子供の知識を得る進路に壁を必死に作ってきたような気がする。現在の生徒たちは、生徒の時期の12年間、すなわち小学校5年・中学校4年・高校3年を完全に修了するために、4つの壁を一生懸命乗り越えなければならない。なんか、『入試マラソン』大会みたいだ。」

 

この皮肉を込めて書かれた話から、「入学マラソン」という言葉が生まれてきた。これは、現代のベトナムで行われている入学競争の様子を完全に描いており、流行している言葉である。次に、ベトナムでの入学競争の状況を明らかにするために、この「入試マラソン」の難関(壁)を、「大・高・中・小」という逆の順番に調べてみる。

 

2.ベトナムでの入学競争の背景

2.1 「大学校入試」

 

これは、歴史が一番長い壁かもしれない。ベトナムでは、大学に入らず、専門学校へ進むか、働きはじめるのはやむを得ない選択だと見られる。言葉を変えれば、大学に入るのは最高であるし、必ず成功に導く進路だという。社会全体がそういう風に思い込むと、間違いなく子供の考えに影響を強く与えるはずである。ほとんどの高校生は、卒業したとき深く考えずに大学への出願を選択する。その結果、大学の席につくマラソンの競争は年々激しくなっているわけである。

 

大学入学試験の開始日の前、生徒たちは激しく迫られる。試験勉強はもちろん、そのほかにもいろいろな手続きをしなければならない。時間が一番かかる決定的な問題とは、どんな大学に出願するのかということである。それは、さまざまな要素によって決まるが、見逃せない一つの参考資料とは、大学それぞれの入学競争率である。

 

今年、フエ大学の入学競争率は37.5倍と発表されたが、これは全国一で番高い。ほとんどの大学の競争率はそれほど高くないが、10〜20倍の大学も少なくない。このことからして、入学競争率は外国と比べ、結構高いと言えるだろう。その競争率からの圧力を感じて、ほとんどの高校生は数・文・物理・化・生物・歴史学などの入試に出る科目を教える学習塾へ行く。「実戦」と言われる試験が行われる一ヶ月前、塾が百花繚乱のように出てくる「乱塾時期」になる。一日中必死に3〜4つの塾へ行ったり、徹夜で試験勉強をしたりする生徒が数多くいる。

 

しかし、全国で行われた調査によると、大学入試の不合格比率は8割だと報じられている。この事実は、教育における競争化が激化していることを顕著に示していると言ってもいいだろう。

  

2.2 「中学校入試」、「高校入試」

 

「中学校入試」と「高校入試」は大学入試と比べ、競争状況はそれほど激しくない。しかし、中学校・高校における競争が激化していくという事実は否定できない。小学校から中学校へ進むとき、生徒の成績表に基づいて厳選される。英語、コンピューターなどの市・県中のコンテストで好成績を修めて、いい成績を持っている生徒は、合格率が高いと考えられている。また、高校へ進むとき、卒業証書や成績表に基づいて検討されるのに加えて、入学試験も行われる。

 

成績表と入試の点数の点数によって合否が決められるので、いい成績表と高い点数を得るために、数学や文学や英語などの必修科目のほかに、外国語やコンピューターなどの塾にまで行かされる生徒が多いである。ベトナムでは、小学生・中学生が毎週2〜3回塾へ行くのはザラである。特に、中学生の5年生と中学生の4年生にとっては、他の受験者を負かして、知名度の高い学校に入るためには、塾は日常生活に欠かせないもので、ごく自然だと言われている。

  

2.3 「小学入試」

 

これはここ数年出ている新しい難関であるが、現代一番厳しい競争かもしれない。子供が小学校へ入るために、親は願書を出さなければならない。しかし、毎年出願希望が圧倒的に多いのに対して、出願書類の数部が限られているので、出願書を売る日、親たちは朝早くから学校の門で並ばなければならない。出願書を買うために、長い列を作って朝早くから並ぶのは、珍しくなっている。小学校に入るのは子供の「進路の最初の歩み」なので、有名な学校に入れたら明るく着実な将来が保障され、学の中に片足を踏みは入れたのと一緒だと多くの親が考えている。

 

小学校に出願書を出すのは親のマラソンであるが、競争はそれだけに止まらない。小学校に入ったとき、自分の子供たちが誰にも負けず、いい成績が取れるようにするために、たった5〜6歳だけの子供を文字・数字の塾へも行かせる親は少なくない。有名な塾へ子供を預ける親の競争を見ると、競争に踏みにじられる純粋な子供を可哀そうに思わずにはいられないだろう。

 

ここ数年、入学試験を行う小学校が出てきた。読み書きがまだうまくできない子供は何の試験を受けるのかが、不思議な問題である。実際には、ハノイにある小学校で行われる入試では、子供の発音力・外国語への反応力をテストした上に、合否を決めるそうである。人生の一番最初の歩みで、これから別々に扱われるという差別意識を幼い頭に詰め込むと言っても過言ではないだろうか。

  

3.入学競争の本質

 

大学から、高校や中学校そして、小学校まで伝染している入学競争は、どこに由来しているのか。言い換えれば、入学競争の本質は何だろう。答えは一つではないが、本稿では、学歴重視社会、そして、親の競争思考は入学競争を引き起こす主な原因であると強調したい。

 

親たちは、「自分の子供が他の子に負けたり、遅れたりするのを避けるために、できるだけ早く学ばせるべきだ」という観念に左右されている。5歳の子供を塾へ行かせるのは早すぎて、子供の一番純粋できれいな時期を奪ってしまうと思う親が少なくない。しかし、他人の子供が一生懸命塾へ行く背景には、他の子供についていけなければ、子供自身が困るようになるという不安感を持っているから、「ちょっとつらいけど、行かせるしかない」と弁護する。

 

子供のことをあれこれ考えている、こんなにいい親は考え方が、何と言っても学歴重視社会、受験競争と偏差値による序列化の進行に蝕まれているかもしれない。その結果、どちらが子供にとっていいか、どちらが悪いか、区別できなくなっているようである。子供たちが5歳のときから「入学マラソン」に押し付けられるという悲しい事実は、子供の心身はもちろん、幼い価値観に悪い影響を与えるかもしれない。私たちは、学歴や社会的な地位や財産などによって人間の価値を判断するという偏った考えを持っている子孫をつくっているのではないだろうか?

答えは、親たちに譲る。

  

4.終わりに

 

本稿では、ベトナムで行われている入学競争の状況について考察した。小・中・高等学校・大学の入学競争は、激しさは違うが、あくまでも激化していく傾向を示している。社会の偏った価値観が、この状況を招いている真因だと強調したい。これは、ただ学生である私の考えによって作られたエッセイに過ぎない。この社会的な難しい問題の解決策は、簡単に言えることではないと思う。しかし、ここでは教育における競争が関係者の成績病にもたらしたり、子供たちの消極的な競争意識を招いたりすると指摘したい。その症状と思考を取り除かないで、そのままの競争環境で将来の世代を育てれば、子供の精神的発達、人格的成長には歪みが生じるだろう。子供の人格を育てるという教育の大事な役割が、どこにあるか疑わしい。


posted by ノラ猫 at 12:17| ハノイ ☁| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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