お父さんは、娘が誕生する38年間もの前に生まれた。
お父さんは、「戦争」という言葉を痛感したし、物騒な時代に暮らしていた人間の苦痛が分かる。娘は平和時代に生まれ、成長しているから、本や映画や周囲の話を通して「戦争は本当に何か」とぼんやりしか分かっていない。
でも、娘は、戦争についてのドキュメントに興味がある。娘は、戦争で行方不明の家族を探す人を応援する「お別れが起こらないようだ。。。」と呼ばれる番組をじろじろ見る。娘はそもそも、戦争時代に生きていた貧しい人の暮らし方、無条件のお互いの助け合い方が好きだから。また、マニー、マニーにしか感心を持っていない近代の人の暮らし方が嫌だし、なかなか納得できないから、そのドキュメントに染みた昔ながらの清潔な雰囲気を味わいたいと娘が言った。要するに、娘にとっては、戦争というものはつらいものより、国民のすべての心の団結や周囲との分かち合いなどのきれいな人間関係についての教訓をもたらしたものだ。
娘と違って、テレビで戦争のことを語る番組をやるたびに、お父さんはいつも布団に入って寝る。戦争についてはあまり話さないが、話し始めたが最後、1945年の飢饉がどんなにひどかったのか、アメリカ帝国主義からの兵士がどんなに凶悪だったのかなどをつらいことしか思い出さないで語る。つまり、実験したお父さんにとっては、戦争というものは、どんな言葉でかばっても苦痛でつらかったものだから、お父さんは振りかえたくない。戦争の「何も不足」時代に暮らしたお父さんは、「豊かな生活ができるようにお金をたくさん稼がなければならない」という現代人の実利的な考え方が理解できる。だから、お父さんは、昔の人と今の人の暮らし方について比較し、評価したことはない。
歴史上の問題に対して、お父さんと娘の考えは随分違っている。